”ミストコレクターの構造”を種類別ごとに徹底解説|設置方法についても紹介
金属加工における切削で発生するオイルミストを吸引・除去してくれる”ミストコレクター”の導入を考えている方も多いでしょう。
しかし、ミストコレクターには3つの種類があり、それぞれ構造が異なります。
本記事では、”ミストコレクターの構造”を種類別に解説します。
・ミストコレクターの種類別ごとの構造
・ミストコレクターの設置方法
ミストコレクターの構造を理解することで、使用条件に合ったものを選べるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。
”ミストコレクターの構造”と種類
ミストコレクターは、オイルミストを吸引/捕集する構造によって以下の3種類に分けられます。
- フィルター式
- フィルターレス式
- 電気集塵式
それぞれの特徴や使用事例について解説していきますので、ミストコレクターの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
フィルター式”ミストコレクターの構造”
フィルター式のミストコレクターは、最も一般的な方式で、ファンによって吸い込まれたオイルミストの油分をフィルターを通して、ろ過する構造です。
捕集したオイルミストは、複数のフィルタを通過して、ミストコレクター下部にあるドレンから排出されます。
構造もシンプルなため、他の種類のミストコレクターと比べ、初期コストが安く抑えられます。
フィルターの洗浄や交換が必要ですので、選ぶ際はメンテナンスがなるべく簡単に行える製品を選ぶことが大切です。
また、製品によっては、オイルミストだけでなく、油性切削油などで発生する『微細ミスト』や『油煙』を標準仕様で捕集できるものがあります。
※確かな捕集で安心な作業環境に貢献する『オニカゼ ヘビースモーカー』
『微細ミスト』『油煙』を標準仕様で捕集します。ONIKAZE独自の段階的な捕集構造により、各フィルターの負担を軽減し、メンテナンス周期を長期化します。また、フィルターの洗浄や交換の際に工具が必要なく、作業者の負担を軽減します。
フィルターレス式”ミストコレクターの構造”
フィルターレス式は、フィルターの数を最小限に抑え、代わりの捕集ユニットでオイルミストを捕集する構造です。
フィルター式と比較して、メンテナンスの手間やランニングコストを抑えことができます。
いくつかの捕集ユニットがありますが、代表的なものとして、遠心力を利用して油分を分離させる方法や、ディスク形状を高速回転させてオイルミストを弾き飛ばし、装置の内壁に衝突させる方法があります。
『微細ミスト』や『油煙』と呼ばれる微細粒子の捕集は難しいため、使用する際には水溶性の切削油を使用し、また重切削加工でないことなど、使用条件を確認しましょう。
※省エネ・カーボンニュートラルに貢献する『オニカゼ スマートミストマジック』
ONIKAZE独自の『マジックセパレーター』機構による遠心分離は、ミスト、切粉、スラッジを内部に溜めず、長期間の稼働が可能で、面倒なドレン配管も不要です。さらに、従来と同じ性能で1サイズ小型のモーターを採用することにより、消費電力/CO2排出を最大約50%削減します。
※『自動化』・『見える化』に貢献する『オニカゼ スマートミストゼロ』
新開発の「ロータリーマジック」機構により、高い捕集性能と限りなくメンテナンスレス(ゼロ)を両立。インターフェイスが備わっているため、簡単に拡張オプションを取り付けできます。
電気集塵式”ミストコレクターの構造”
電気集塵式のミストコレクターは、入ってきたオイルミスト粒子を高電圧により発生させた「コロナ放電」で帯電させ、電圧使用集塵極板(電極)の静電力で油分を吸着・収集する構造です。
『微細ミスト』や『油煙』など1μm以下の微細粒子の捕集が可能です。
ただし、高電圧を使用するため、取り扱いや設置場所に十分な注意が必要です。
”ミストコレクターの構造”によって除去できる「オイルミスト」とは
そもそもミストコレクターの構造によって除去できる『オイルミスト』は、金属加工における工作機械での切削時に発生します。
そうして、発生したミストオイルを放っておくと、人体や環境に悪影響を及ぼしてしまうので、発生した時点で早期に除去することが大切です。
例えば、人体だと目に入ったり吸い込んだりすることで、目の疾患や呼吸器系の疾患になる可能性があります。
また、オイルミストの油分が床に付着して滑りやすくなることで作業環境が悪くなったり、大気汚染などの環境汚染につながったりするのです。
ミストコレクターの設置方法
ミストコレクターの構造について理解できたら、最後にミストコレクターの設置方法についても理解しておきましょう。
ミストコレクターの設置方法は、以下の3つに分けられます。
- 直結吸気方式
- 局所吸気方式
- 広域吸気方式
それぞれの特徴をしっかりと理解して、工作機械に合った正しい設置方法でミストコレクターを取り付けるようにしましょう。
ミストコレクターの設置方法1.直結吸気方式
直結吸気方式は、マシニングセンターや、複合加工機などの加工部が密閉された工作機械で主に採用されている方式です。
工作機械内で発生したオイルミストを直接吸引・除去する構造なので、捕集効率が高いです。
使用している工作機械の加工室エリアや切削条件によりミストコレクターのサイズを選定します。
ミストコレクターの設置方法2.局所吸気方式
局所吸気方式は、直接ミストコレクターを設置できない研削盤のような加工部が密閉されていない工作機械に採用されます。
なぜなら、加工部が密閉されていないと、ミストコレクターを直結できないからです。
そのため、フードでオイルミストを集めて吸気する局所吸気方式が採用されています。
ただし、フードの位置や工作機械によって発生するオイルミストの流れる方向によっては、うまく吸気ができない場合があるので、設置の際には十分に検討して取り付けるようにしてください。
ミストコレクターの設置方法3.広域吸気方式
広域吸気方式は、直接吸気方式や局所吸気方式のミストコレクターを設置しても、すべてのオイルミストを除去できない場合の設置方法です。
具体的には、工場全体のオイルミストを吸収できるミストコレクターの機能が付いた空調機を導入したり、小型のミストコレクターを工場内に分散設置したりなどが挙げられます。
また、「直接吸気方式+広域吸気方式」のように、組み合わせて活用するとより排気効率が良くなるでしょう。
まとめ
今回は、ミストコレクターの構造について解説しました。
ミストコレクターは、「オイルミスト」の油分を分離する構造によって以下の3種類に分けられます。
- フィルター式
- フィルターレス式
- 電気集塵式
本記事で紹介したミストコレクターの構造を参考にして、あなたの会社で使っている工作機械に合ったミストコレクターを選んでみてください。
赤松電機製作所では、お客様の様々な使用条件に合うように3機種のミストコレクターをご用意しています。
気になられた方は、ぜひ、ホームページから製品情報をご確認ください。
また、ご不安な点・ご不明な点があれば、お気軽に問い合わせください。