ミストコレクターで”蒸気”は捕集できるの?問題が起きる原因と対策を紹介
工作機械を稼働させていると、どうしても製造工程の中で粉塵やオイルミストなどが発生してしまいます。
そのため、ミストコレクターを設置することで、これらの副産物を吸引・除去し、換気扇や製造用機械の故障を防ぐことが必要です。
しかし、ミストコレクターで”蒸気”のような粒子の細かい気体を捕集することは、可能なのでしょうか?
この記事では、ミストコレクターが蒸気を捕集できるのか、蒸気に関する問題が起きる原因と対策について解説します。
ミストコレクターってどういう装置?
そもそも、ミストコレクターは、工場内で金属部品を切削加工する際に切削油を使用することで発生する「オイルミスト」を吸引・除去するための機器です。
オイルミストは、工作機械で切削時に使用される潤滑油が、機械の稼働によって飛散されることにより生じ、微粒子化して空気中に浮遊した霧状の油のことを指します。
ミストコレクターはこれらを吸引・除去し、清浄化した空気を排気します。こうすることで、従業員を健康被害から守り、工作機械や制御機器の劣化を防ぐのです。
ミストコレクターで”蒸気”を吸引できるのか?
ミストコレクターは本来、蒸気を吸引捕集する装置ではないため、通常の方法では、蒸気を完全に捕集することが難しいことがあります。
水蒸気などの蒸気は油分が混じっているオイルミストや油煙より粒子が更に細かいためです。
例えば、温水洗浄機にミストコレクターを使用する場合、高温水蒸気がフィルターや捕集ユニットを通過し、外気で冷却および再結露することにより、十分な捕捉ができない可能性があります。
ただし、対策を施せば捕捉効率を改善することは可能です。
対策の1つとして、二次空気を取り込むことにより、強制的に結露させることで捕捉効率を改善する方法があります。
上記図は取付の一例です。
上記取付例のように洗浄機とミストコレクターの配管部にT型分岐管を設置し、外気の吸入量を調整できるように手動ダンパーを取付け、できるだけ多くの外気を取り入れます。
<捕捉効率を上げるポイント>
1.外気の比率が多いほど効果が高い。
2.ミストコレクターまでの配管は⻑いほど効果が高い。
3.放熱効果の高い配管材料(アルミ製フレキ等)ほど効果が高い。
4.二次空気取込口は上向きに設置すること。
5.停止時に配管内の結露ドレンが外部に出ないようにする。
このような対策を行うことで、ミストコレクターで蒸気の捕捉効率を改善することができます。
ただし本来の使用用途とは違うので完璧を求めるのはやめましょう。
”蒸気”を吸引することで起こりうる問題とは?
工場内で発生した蒸気をミストコレクターが吸入することで、以下のような問題が起こりえます。
- 蒸気が原因でモーターが錆びて故障する
- 高温の水蒸気を吸入しすぎて故障する
ミストコレクターの調子が悪い、もしくは原因不明の故障で困っている方は、以下のケースに当てはまるかどうか比較してみてください。
問題1.”蒸気”が原因でモーターが錆びて故障する
ミストコレクターで蒸気を日常的に吸引していると、蒸気がモーター内部に入り込みます。
その結果、モーターに過剰な負荷がかかってしまい、モーター内部の回転が悪くなり、最終的にはモーターが焼損し、動かなくなってしまうこともあるのです。
問題2.高温の”蒸気”を吸入しすぎて故障する
ミストコレクターには、処理できる「吸入可能温度」というものがあります。ミストコレクターが、この吸入可能温度を超えた温度の水蒸気を吸入し続けると、故障しやすくなってしまうのです。
ちなみに、この吸入可能温度は商品によって異なりますが、最高でも75℃がミストコレクターの吸入可能温度であることが多いと言われています。
そのため、高温のままで未処理の蒸気をミストコレクターが吸入し続けることで、故障してしまうのです。
ミストコレクターで高温の蒸気を吸引する場合は、先ほどのように二次空気を吸わせる等の冷却を行い、「吸入可能温度」まで下げる必要があります。
モーターの錆を防ぐ工夫が施されたミストコレクター
弊社のミストコレクターは、モーター内部に蒸気が進入しないよう様々な工夫が施されています。
羽根車の裏側に別の羽根を装備しており、外気をミストコレクター内に吸入させることにより、ミストコレクター内部の気体、ミストをモーター側に進入しないようにしています。
モーターの軸貫通部にオイルシールを装備しているので、モーター内部にミストコレクター内部のミスト等を進入しないようにしています。
ミストコレクターで”蒸気”を吸入する際の基準
ミストコレクターを選ぶ時の基準は、以下の通りです。
- 洗浄温度
- 洗浄液のPH
- 洗浄機の加工室容積
- 洗浄ワークに付着している液体
工場で使用している機械の洗浄温度が高い場合は、吸入可能温度が高いミストコレクターを選ぶ必要があります。
もしくは、蒸気の温度を下げる対策を施していきましょう。
工場内で洗浄液を使用している場合は、洗浄液のPHによって発生する蒸気が酸性かアルカリ性かがわかります。
洗浄液のPHを確認して、耐性がある素材や作りのミストコレクターを選ぶ必要があります。
また、加工室の容積の大きさも、ミストコレクターを決定する上で重要な基準となりますので、しっかり考慮しましょう。
ちなみに、工場の洗浄機械に有機溶剤や石油系の液体が使用されている場合は、ミストコレクターに、引火してしまう危険性があるので注意が必要です。
まとめ
ミストコレクターは、金属部品を切削加工する際に切削油を使用することで発生するオイルミストを吸引・除去するための機器です。
洗浄機などで発生する蒸気を吸引する場合は、ミストコレクターの内部のモーターが故障する可能性があります。
二次空気を取り入れるなどの対策をしっかり行い、作業環境の改善に努めましょう。
赤松電機製作所が展開する『ONIKAZEミストコレクター』は、様々な条件を考慮し3種類のラインナップをご用意しています。
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