「ミストコレクター」とは?3種類や設置方法を解説
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ミストコレクターの
種類と設置方法を解説!
『”ミストコレクター”って何?』と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
金属を加工する工場などで、マシニングセンターやNC旋盤を使用している場合、”ミストコレクター”はとても重要な役割を果たしてくれます。
しかし、具体的にどのような役割を果たしているのか知らない方も多いでしょう。
そこで本記事では、ミストコレクターの3つの種類と設置方法3つについて解説していきます。
・ミストコレクターとは?
・ミストコレクターの3つの種類
・ミストコレクターの3つの設置方法ヒュームコレクター
また、ミストコレクターで回収できる”オイルミスト”の影響についても解説しますので、ミストコレクターについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
”ミストコレクター”とは?
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ミストコレクターとは、金属加工における工作機械での切削時に発生する「オイルミスト」を吸引・除去できる装置です。
ミストコレクターを導入し、工場環境が改善すると従業員の健康維持、転倒事故防止、離職率の低下、作業の効率化、生産性の向上などのメリットがあります。
オイルミストは、ほっておくと人体や環境に悪影響があるので工場全体に広がる前に除去した方が得策です。
また、オイルミストに含まれる油分が、周りにある機械、機器、装置等に付着すると、故障してしまう可能性があるので、確実に除去するようにしましょう。
”オイルミスト”が引き起こす悪影響
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オイルミストとは、微粒子化して空気中に浮遊している油霧のこと。
工作機械に使用される切削油が、機械の稼働によって飛散されることにより生じます。
また、切削油が高いせん断を受ける高圧給油加工・高速切削・研削加工において多量に発生することが多いです。
ここでは、オイルミストが人体や環境・機械に与える影響について詳しく解説します。
1.人体への影響
オイルミストを吸引したり、目に入ったり、皮膚に付着したりすることで、以下のような健康被害が起こり得る可能性があります。
- 肌荒れなどの皮膚疾患
- 鼻や喉、呼吸器系の疾患
- 目の疾患
- 頭痛 など
2.環境への影響
オイルミストは、作業環境へも悪影響を引き起こします。
- 視界不良
- 天井面からの油滴滴下
- 油分が床面に付着して起こる、転倒・滑落などの労働災害
- 油煙による火災の発生・爆発のリスク
- 製品・工場内備品の汚染
3.機械への影響
製品を作るために必要な機械にも悪影響が出る場合があります。
- 電子機器への付着によるショート
- 換気による冷暖房エネルギーの消耗(空調コストの増大)
- 金属・樹脂部分の腐食
- 空調機等の設備故障(フィルタ詰まりによる空調効果の低下など)
”ミストコレクター”の種類
ミストコレクターで回収できるオイルミストについて理解できたら、続いて、ミストコレクターの種類についても理解しておきましょう。
ミストコレクターは、オイルミストの油分を除去する構造によって、主に以下3つの種類に分けられます。
- フィルター式
- フィルターレス式
- 電気集塵式
それぞれの種類の特徴を理解して、あなたが使用する工作機械に合ったミストコレクターを探してみてください。
1.フィルター式
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フィルター式は、最も一般的な方式で、ファンによって吸い込まれたオイルミストの油分をフィルターを通してろ過する方式です。
捕集したオイルミストは、複数のフィルタを通過して、ミストコレクター下部にあるドレンホースから排出する仕組み。
そんなフィルター式のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
- 構造がシンプルなので、初期費用が比較的安い
- 現場で管理しやすい
- 安全性が高い
デメリット
- フィルター交換を怠ったり、粉塵成分が多かったりすると、目詰まりしやすい
- フィルターの通気抵抗が高いため、電動機の消費動力が大きくなる
- 交換後の使用済みフィルターは、産業廃棄物になってしまう
弊社製品「オニカゼ ヘビースモーカー(HVS)」はフィルター式のミストコレクターです。
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最大の特徴は、油煙を捕集できるファイナルフィルターを標準搭載しているのでミストだけでなく、油煙まで捕集できる点です。
また、ONIKAZE独自の捕集構造を採用し、段階的に捕集することでフィルター式のデメリットである目詰まりのしやすさを軽減しました。
2.フィルターレス式
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フィルターレス式は、フィルターに代わる捕集ユニットでオイルミストを捕集する方式です。
内蔵されているフィルターが少ないのでメンテナンスが簡単でランニングコストを抑える事が出来ます。
具体的には、回転ディスク式によりオイルミストを弾き飛ばす方法や遠心力を利用し油分を分離させる方法等があります。
メリット
- 使用されているフィルターが少ない為、洗浄・交換等の手間が軽減される
- メンテナンス・設置が簡単
- フィルター式に比べ軽量・コンパクトである為、工作機械の上部に設置出来る可能性がある
デメリット
- 1μm以下の微細なオイルミスト(サブミクロン粒子)は捕集が難しい
遠心分離式ミストコレクター「オニカゼ スマートミストマジック(SMG-R)」
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遠心分離により、ミスト・切粉・スラッジを内部に溜めず、⻑期稼働が可能で
面倒なドレン配管も不要です。さらに、従来と同じ性能で1サイズ小型のモーターを採用することで消費電力を約50%削減でき、省エネに貢献します。
また、本体では捕りきれない油性オイルミスト及び、現状よりさらなる捕集性能をお求めのお客様に向けて、アフターフィルターをご用意しております。アフターフィルターの捕集性能は0.3μm以上の粒子・ミストを約99.93%捕集です。
ロータリー式ミストコレクター「オニカゼ スマートミストゼロ(SMX)」
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3.電気式
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電気集塵式は、入ってきたオイルミスト粒子を高電圧により発生させた「コロナ放電」で帯電させ、電圧使用集塵極板(電極)の静電力で油分を吸着・収集する仕組みのミストコレクターです。
高い捕集効率があるため、1μm以下の微細なオイルミスト粒子も捕集ができます。
また、電極は洗浄リサイクルが可能で、繰り返し使用することが可能です。
ちなみに、空調機と一体になっているミストコレクターや、大型のミストコレクターは主に、電気集塵式が使われています。
そんな電気集塵式のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
- 1μm以下の微細なオイルミスト粒子を捕集できる
- フィルターが付いていないため、フィルター交換の手間がかからない(産業廃棄物のゴミが出ない)
- 電極は洗浄リサイクルが可能なため、繰り返し使用できる
デメリット
- 他の方式と比べると、価格が高価になってしまう
- 高電圧を使用するため、取り扱いや設置場所に十分な注意が必要
- 電極のメンテナンスを怠ると、安全装置により頻繁に停止してしまう
- 電極の洗浄に手間がかかり、メンテナンス費用が高額になる
”ミストコレクター”の設置方法
ここまでで、ミストコレクターの種類について理解できた方は、設置方法も併せて理解しておきましょう。
ミストコレクターの設置方法は3つあり、以下のとおりです。
- 直結吸気方式
- 局所吸気方式
- 広域吸気方式
工作機械によって、採用される設置方法が異なるため、それぞれの違いをしっかりと頭に入れて設置方法を選ぶようにしましょう。
1.直結吸気方式
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直結吸気方式は、NC旋盤やマシニングセンタ、複合加工機などの加工部が密閉された工作機械で主に採用される方式で、ミストコレクターの一般的な使用方法です。
加工室内に発生したオイルミストを吸引し、捕集します。
工作機械とミストコレクターはダクトホースで接続吸引します。
使用している工作機械の加工室エリアや切削条件によりミストコレクターのサイズを選定します。
2.局所吸気方式
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局所吸気方式は、汎用旋盤や研削盤の様な加工部が密閉されていない工作機械に採用されます。
なぜなら、加工部が密閉されていないと、ミストコレクターを直結出来ないからです。
発生するオイルミストが流れる方向等を念頭に刃物付近に直接ホースを近付けたり、フード等でオイルミストを集めたりして吸引します。
3.広域吸気方式
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広域吸気方式は、直接吸気方式や局所吸気方式のミストコレクターを設置しても、すべてのオイルミストを吸収・除去できない場合の設置方法です。
工場全体のオイルミストを吸収できるミストコレクターの機能が付いた空調機を導入したり、小型のミストコレクターを工場内に分散設置したりして使用されます。
換気をすれば、ある程度の工場内のオイルミストは外へと流れていきますが、外部への汚染問題もあるため、「直接吸気方式+広域吸気方式」のように、組み合わせて活用すると良いでしょう。
まとめ
ミストコレクターを使うことで、人体や環境・機械に悪影響を及ぼす、オイルミストを除去することが可能です。
今回紹介した、ミストコレクターの種類と設置方法をしっかりと頭に入れておき、工作機械に合ったミストコレクターを選定するようにしましょう。
赤松電機製作所が展開する『ONIKAZEミストコレクター』は、様々な条件を考慮し3種類のラインナップをご用意しています。
気になられた方は、以下のページからぜひお問合せください。